宇部マテリアルズは、同社の水酸化マグネシウムと酸化マグネシウムを原料に環境マグネシアが開発した「ミネラルオーシャン」を、ビル排水槽(ビルピット)の悪臭を防ぐ水質浄化材として製品化した。
ミネラルオーシャンの原料の酸化マグネシウムは、海水中のマグネシウムなどの微量ミネラル分を濃縮し塩分を除去して製造される、スポーツ飲料や胃薬の原材料にもなる安全な物質だ。弱アルカリ性なので硫酸塩還元菌の増殖を抑制し、硫化水素の発生を抑える。また、ミネラルオーシャンは、主成分のマグネシウムのほか、微生物が必要とするミネラル類を含み、好気性バクテリアを活性化させてヘドロ化した有機物の分解を促進する。その結果、腐敗した水は浄化され、悪臭の発生が抑えられるのである。
このミネラルオーシャンをビルピット浄化に応用したきっかけは、ある総合病院が宇部マテリアルズにもちかけた相談だった。その病院ではビルピットが待合室の真下にあったため、来院者から悪臭の苦情が出た。そこで試験的にミネラルオーシャンを投入したところ、3週間後にはCOD値※が低減化するとともにピットからの悪臭問題は解決した。この成果はマスコミにも取り上げられ、同社には同じように悪臭で悩むビルオーナーなどから多数の相談が寄せられているという。ミネラルオーシャンはビルピットの清掃時に排水槽に投入するだけ。特別な設備や人手は必要ない。